赤ちゃん歯科と授乳の関係は非常に深く、赤ちゃんの口腔発達や乳歯の健康に影響を与える重要なポイントです。
授乳の仕方や頻度、母乳や哺乳瓶の影響について理解することで、赤ちゃんの歯の健康を守ることができます。
以下に、授乳と赤ちゃんの歯科の関係について説明します。
授乳が赤ちゃんの口腔発達に与える影響
授乳は、赤ちゃんの口や歯、顎の発達を促す大切な行為です。
母乳育児の利点
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顎の発達を促進
母乳を吸うとき、赤ちゃんは舌や唇、頬の筋肉を使い、自然と顎の骨が鍛えられます。この動きが正常な歯並びや咬合(噛み合わせ)の発達に繋がります。 -
正しい飲み込みの習慣
授乳時の舌の動きは、正常な飲み込みの動作を身につける練習になります。この習慣が舌の位置を適切に保つことに役立ち、歯並びや発音のトラブルを防ぎます。 -
乳歯の保護
母乳は赤ちゃんに必要な栄養を与えつつ、適度なpH値を保つため、虫歯になりにくい環境を提供します。
哺乳瓶との違い
哺乳瓶での授乳は母乳よりも吸う力が少なくて済むため、舌や顎を使う運動量が少なくなります。そのため、母乳授乳が可能であれば、顎の発達の観点からも母乳を推奨する専門家が多いです。
授乳と虫歯の関係
授乳は赤ちゃんの栄養と発達を支えますが、不適切な方法や習慣が虫歯につながることもあります。
哺乳瓶虫歯(むしば)
- 哺乳瓶にミルクやジュースなどを入れたまま長時間使用すると、糖分が歯に付着し、虫歯の原因になります。特に夜間、哺乳瓶を咥えたまま寝る習慣があると、唾液の分泌量が減るため、虫歯のリスクが高まります。
長時間授乳と噛み合わせへの影響
長期間授乳や哺乳瓶の使用が続くと、歯並びや噛み合わせに影響を及ぼす場合があります。
指しゃぶり・おしゃぶりとの関係
- 母乳授乳そのものは問題ではありませんが、長期間のおしゃぶりや哺乳瓶使用が続くと、開咬(前歯が噛み合わない状態)や出っ歯の原因となることがあります。
卒乳のタイミング
- 一般的に、1歳〜1歳半頃には哺乳瓶の使用を減らし、離乳食やコップ飲みへ移行することが推奨されています。
授乳時の舌小帯の問題
舌小帯(舌を支える筋)が短い場合、授乳がスムーズにいかないことがあります。
舌小帯短縮症と授乳
- 舌小帯が短いと、赤ちゃんが舌を上手に使えず、母乳を吸うことが難しくなる場合があります。その結果、母乳不足や授乳時間の延長、母親の乳首に痛みが生じることがあります。
授乳に困難がある場合ご相談ください。
歯が生え始めたら注意するポイント
乳歯が生え始める(生後6か月ごろ)と、授乳後のケアがより重要になります。
授乳期の歯科検診
授乳中の赤ちゃんの歯科検診は、早期のケアを始める良い機会です。
検診のメリット
- 授乳習慣や歯の状態を確認し、適切なケア方法を教えてもらえます。
- 舌小帯や歯並びの問題がないかをチェックしてもらうことも可能です。
授乳は赤ちゃんの成長と健康に欠かせない行為ですが、歯が生え始めたら授乳後のケアや習慣に注意が必要です。
母乳や哺乳瓶による影響を理解し、適切なケアを取り入れることで、赤ちゃんの歯の健康を守ることができます。
現在、当院では助産院からの紹介者のみ舌小帯、上唇小帯の切除を行っております。